公式でプレイをするようになり、少しずつ「俺もやれば公式も出来るじゃん」と勘違いをし始めていた頃。
悲劇が起きました。
とある日。
アップデートによりこれまでコンシューマに配備されていなかったミッションが配信され、ボスに行く為のハードルが上がったように見えました。
しかしながら同じアップデートにより、これまでジェネシス2ボスでは開放されなかったレプリケーターなどのTEKエングラムが開放されるとあって、水城としてはやる気を出さざるを得ない状況となったのです。
何故なら、予てより公式をプレイしてきた皆さんにはそういったTEKエングラムを開放しているキャラクターはどこかのサーバーにいる事でしょう。
しかし最近公式を始めたばかりの水城にはそんなキャラクターはおりません。
なのでこれまでは…
「ジェネシス2のキャラクターが一番プレイしてるから、転送解禁されたらコイツを他のサーバーに連れてってボス倒して、レプリケーターとか開放してからジェネシス2に戻ろう」
と考えておりました。TEKエングラムの基本であるレプリケーターのエングラムが、ジェネシス2では解放されないと聞いていたからです。
しかしジェネシス2でも解放出来るのであれば、それに越した事はない。もちろんTEK全てを解放するにはいずれ他のサーバーのボスを倒しに行く必要はあるでしょうけど、まずレプリケーターが欲しいと思ったからです。
というわけで水城はいよいよボスに行きたいと考えました。
ジェネシス2のボスに挑むには、ボスの難易度と同じ難易度のミッションの全てをクリアする必要があります。物を集めれば挑めるこれまでとは大違いです。
というわけで、まずはγをクリアしていく必要があります。
そこで手始めに、拠点の近くにあるミッションポータルで、最近ずっと練習していた「スタードルフィン」の練習をしようと考えました。あわよくばクリアも…などと考えながら。
TEKスーツならものの10秒で到着するところにあるミッションポータル。思えばこの気軽さも、良くなかったのかもしれません。
ミッションをプレイする事、数回。
それはミッションの最中に起きました。
その時、サーバーにいた全てのトライブメンバーがエラ落ち。もちろんミッション中の水城共々です。
あ?と思いました。
ミッション中に落ちたらどうなるんだろう…
ここで何かを悟ったのか、自分でも分かりませんが、なんだかやたらと冷静だったのを覚えています。
ミッションリストを見ると、満員に近かったサーバー人数は一桁まで減っていました。
おそらくエラ落ちではなく、サーバーが落ちたんでしょう。
次々に入るサーバーの人達。出遅れた水城は上手く入れませんでした。
早めに入れたトライブメンバーがロールバックしていると言っていました。
そんな事を他人事のように聞きながら、水城は違う事を考えていました。
ああ、そうか。
こういう事もあるのか。
ロールバック?ならミッション前に戻されたの?
持っていたものはどうなるんだろう?
…
俺のリーパーは?
しばらくして、ようやくサーバーに入れました。
そして…
何故かリスポーン場所の選択から。
頭の中は冷静…なのに、どこか違和感を感じる。
コントローラを持つ手に力が入る。
不意に合わなくなる焦点をモニターにしっかりと合わせ、自拠点のベッドを選択。
暗転する画面。
立ち上がった水城のキャラクターの、そのインベントリには何もありませんでした。
まだ頭は冷静。
無言でキャラクターは部屋の扉を開けます。
そう、10秒あればミッションポータルに行ける。
そこにあるのではないだろうか。
ボタンを押し、TEKスーツで飛び上がる。
岩山を越えたらそこにあるはずのミッションポータル。そこに光の柱があれば…
しかしミッションポータルは目の前にあるのに、光の柱どころか死体もバッグもない。
おもむろにまたインベントリを開く。
空っぽの、何もないインベントリ。
消えてしまった。
愕然としました。
こういう事か。全ロスって、こういう事なのか。
探しても見付からず、さすがに呆然としました。
その日はARKに向き合う事が出来ず、別のゲームをしました。
リーパーは、水城が誘導したり罠を作ったりしたわけじゃなく、トライブメンバーが捕まえたおこぼれをもらいました。
だから水城は育てただけです。
でもメインで毎日使っていたリーパーでした。
あー。
生物を失くすって、こういう気持ちなのか。
元々非公式サーバーにてロストした事はありましたが、その時も悲しいような寂しいような気持ちになったのを思い出しました。
そうなるのが嫌で、それからというものの恐竜の名付けも記号的なものにして、愛着沸かないように努めてきました。
しかし公式に来て、非公式のように手軽にポンポンとテイム出来る環境ではなくなり、気付けば手元にいたリーパーを大事に使っていたんだなと思いました。
これは、サーバーの運営元である公式に物申したくなるのも頷ける。
もしかしたら、消えてしまったリーパーはどこかにいたんだろうか?探す場所もっと他にあったんだろうか?
分かりません。
ただただ、物悲しい気持ちになったな、という事だけが残りました。
戦いで死なせてしまったわけでもない。餓死させたわけでもない。ただ、頑張ってミッションやろうとした時に、たまたまクライオポッドを持っていただけです。
最初にリーパーを捕まえてくれたトライブメンバーが、また捕まえてきます!と言ってくれ、事実すぐに捕まえてくれました。
おかげでジェネシス2のキャラクターは今また新しいリーパーを孕んでいます。
でもすごいゲームだなって思いました。
ここ何年も、ゲームでこんなに悲しいとか寂しいとか感じた事ありませんでした。
たかがゲームですが、みんなその中で必死にプレイして、必死に遊んでる。
これだから、例えどんなに悪態ついても辞めずにプレイ続けている人達がいるんだろうな、と思いました。
今回の件は、水城がクライオポッドを持ち歩いていた事も原因のひとつでした。というか、こんな事になると思っておらず、きっとこういう事態を知っている皆さんもこういう経験をしたりして、ARKというゲームと向き合っているんだろうなと思いました。
改めて気持ちを入れ換え、ARKをこれからもプレイしたいと思います。